上司のため息がもたらす「不機嫌ハラスメント」への意識

 

 

 

 

 

部下が苦労してまとめた会議用の書類をチェックするために上司の席へ持って行く場面。上司が一読した後、何も言わずにただ深いため息をついたとします。この上司のため息は部下にとって、大変な精神的苦痛をもたらします。

「はぁ～……」

このため息を聞いた部下の心情は複雑です。まるで上司の心の声、「なんだこの書類、ったくいつまでたっても使えないやつだな……」が聞こえるようです。しかし、これがハラスメントにあたると言われると、多くの人が「え、ため息が？」と意外に感じるかもしれません。

不機嫌ハラスメント（フキハラ）とは
日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要さんによると、「表情やため息、態度で相手に精神的苦痛を与える行為である『不機嫌ハラスメント』（フキハラ）にあたります」とのことです。この表情や態度には、以下のような行動が含まれます。

黙ったまま相手をにらむ
口元をムッとさせる
話を聞いている途中に急に腕を組み出す
座った姿勢でふんぞり返る
こうした表情や態度、ため息などが相手に威圧感や精神的苦痛を与えると総合的に判断されれば、それはフキハラに該当します。特定の相手に向けられた明らかなため息などは、単発でもフキハラが成立します。

パワハラ対策による影響
フキハラの相談件数はここ数年で増加傾向にあります。その背景には、2020年に施行されたパワハラ防止法の影響があります。この法律は、職場におけるハラスメント行為を厳しく取り締まることを目的としており、これにより不機嫌ハラスメントも認識されるようになりました。

結論
上司の何気ないため息や態度が、部下に大きな精神的苦痛を与える可能性があります。フキハラは意識されにくいかもしれませんが、その影響は重大です。上司や同僚とのコミュニケーションにおいて、相手に対する配慮を忘れないことが重要です。職場環境を改善し、すべての社員が安心して働ける環境を作るために、ハラスメント防止への取り組みを強化する必要があります。