「原チャリ」消滅の危機、惜しむ声続々

 

 

 

 

長年にわたり「原チャリ」の愛称で親しまれてきた50cc以下の原付きバイク。しかし、2025年11月に予定されている排ガス規制強化によって、その生産が難しくなり、多くの利用者から惜しむ声が上がっています。

各バイクメーカーは、新たな環境基準をクリアするために、125cc以下の「新基準原付き」や小型電動バイクといった代替商品を開発していますが、小型・軽量で親しみやすかった50ccバイクを懐かしむライダーも多いようです。

原付きバイクへの愛着
バイク店を経営する新保幸夫さん（44）は、50ccのバイクが持つ独特の魅力を語ります。高校生時代にヤマハの「ジョグ」を購入し、ツーリングを楽しんだ思い出が蘇るとのことです。彼の店舗には、30年前の車種が修理に持ち込まれることも多く、今後も50ccバイクに乗り続けるユーザーのために、修理などのサポートを続けていくと語っています。

また、SNSで活動する「たぴこ」さん（26）は、ホンダ「スーパーカブ」で日本一周を果たし、原付きバイクならではの「ゆっくり走り、好きな場所で止まれる」楽しさを語ります。この経験を若い世代に伝えられないことを残念がりつつも、「カブは頑丈だから一生乗り続ける」と力強く述べました。

環境規制強化と代替製品の課題
50ccバイクの存続が難しくなった背景には、2025年に強化される排ガス規制があります。排気量が小さいため、厳しい基準をクリアするのは容易ではなく、多くのメーカーは50ccバイクの生産を終了する見通しです。代替として提案されている新基準原付きや電動バイクについて、新保さんは「原付きよりも車体が大きく、電動バイクは価格が高い」と指摘し、ユーザーにとって本当に代替になるのか疑問視しています。

環境規制と伝統の両立を目指して
環境省は「大気環境を改善するための規制であり、現行のバイクには影響はない」と説明し、利用者に理解を求めています。経済産業省も「環境規制を守りつつ、原付きバイクの良さを維持できるよう制度改正を進める」と述べ、伝統を残しつつも環境への配慮を求めるバランスを模索している状況です。

まとめ
50cc原付きバイクの生産終了は、多くのライダーにとって寂しいニュースですが、環境保護という大義もあります。これからは、新たな時代の乗り物が登場する中で、愛着ある原付きバイクの精神がどのように受け継がれていくのか注目されます。