「私立大学への進学は無理」という思い込みを乗り越えるために

 

 

 

 

 

子どもを私立大学に通わせることに抵抗を感じる親が少なくありません。特に、学費が高い上に一人暮らしとなると、その負担は大きく感じられるものです。しかし、東京大学の卒業生でもある布施川天馬さんは、偏差値の高い大学ほど平均生涯年収が高い傾向にあり、初期費用の負担は将来的に十分回収できると指摘します。では、本当に「私学は無理」「実家から通える範囲でしか進学できない」という考えは正しいのでしょうか？

学費の値上げは進学の障壁にならない
2024年9月、東京大学は学費の値上げを発表しました。年間53万5800円だった学費は、来年度から64万2960円に増加します。4年間で42万8640円の負担増となりますが、この程度の金額が東京大学の人気を揺るがすことはないでしょう。なぜなら、東京大学が提供する研究環境や卒業後のキャリアは、他の大学と比べても極めて優れており、むしろ将来的なリターンが非常に大きいからです。

私自身、進路講演を全国の高校生に向けて行っていますが、「私立大学は費用的に無理」「実家から通える範囲に限定する」という声を多く耳にします。もちろん家庭ごとの事情は異なりますが、この考えが必ずしも正しいとは限りません。

学費の負担と生涯年収の関係
大学進学にかかる費用が高額であっても、その後の生涯年収が大幅に増加するならば、進学を諦める理由にはならないはずです。例えば、進学費用が1000万円かかるとしても、将来の年収がそれ以上に増えるなら、進学する価値が十分にあるという結論に達します。

東大卒なら大きなリターンが期待できる
労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2022」によると、大学卒と中学卒の間には、生涯年収で大きな差があります。具体的には、大学・大学院卒の男性の生涯年収は2億6000万円、女性では2億1000万円とされています。一方で、東京大学卒業者の生涯年収は、コンサルティング会社AFGの推計によると、なんと4億6126万円に上ります。

つまり、仮に東京で一人暮らしをしながら東京大学に通ったとしても、その初期投資額はすぐに回収でき、さらに大きなリターンが期待できるのです。東京大学卒の新卒は、20代で600万円から700万円の年収を得るケースもあり、30代前半までに投資額を回収できることも少なくありません。

まとめ
「私立大学は無理」と決めつける前に、進学先の選択がもたらす将来の収入面でのリターンを冷静に考えてみましょう。特に、東京大学のような高い偏差値を持つ大学では、その初期費用はむしろ将来的に大きな利益を生む投資といえます。もし子どもの将来に少しでも希望を抱いているなら、無理をしてでも高い学費を負担する価値があるかもしれません。

今、進学について迷っているなら、まずは収入のデータを見て将来を見据えた判断をしましょう。