「迷惑客」対策法改正案が旅館やホテルの「お断り」を可能に！具体例指針でトラブル回避を

　旅館業法の改正で旅館やホテルが「迷惑客」を拒めるようになることを受け、厚生労働省は、宿泊を拒否できる迷惑行為の具体例を盛り込んだ事業者向けの指針案をまとめた。土下座や不当な割引の要求などが、事例として挙げられている。

　旅館業法では原則、宿泊拒否を禁じているが、今年６月の改正で、従業員の負担が過重となるような要求を繰り返す「迷惑客」については、例外として宿泊を拒むことが可能になった。

　指針案では拒否できる場合として、〈１〉不当な割引や部屋のアップグレードなど過剰なサービスを求める〈２〉土下座などの社会的相当性を欠く方法で謝罪を要求する〈３〉泥酔して長時間の介抱を求める――などの行為を繰り返すことを挙げた。

　一方、車いす利用者の介助や視覚障害者の誘導などは、宿泊事業者に求められる「合理的な配慮」にあたると指摘。「障害があることを理由に宿泊を拒否できない」と明記した。

　法改正を巡っては障害者団体などから、「事業者の判断で障害者が排除されかねない」との反対意見が相次いだ。厚労省はこうした経緯を踏まえ、指針の策定を進めてきた。指針はパブリックコメント（意見公募）を経て、正式決定する。

　改正法では宿泊拒否できる疾患について、エボラ出血熱や結核など危険度の高い「特定感染症」などと具体的に示した。今年５月、感染症法上の分類が引き下げられた新型コロナウイルスは含まれない。これまでは「伝染性の疾病」と定められているだけで、わかりにくいとの声があった。改正法は年内に施行される。

読売新聞　2023/10/11 19:03
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231011-OYT1T50209/